Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
RDS/VRDS-RFCCプロセスと触媒の技術進歩による残油アップグレーディング性能の向上
Rich ThrelkelChris DillonUdayshankar G. SinghMichael Ziebarth
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2010 年 53 巻 2 号 p. 65-74

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抄録

原油中の高沸点留分をより高価値の留出油にアップグレードするためのプロセスの選択肢について概観した。残油水素化脱硫(RDS)と残油流動接触分解(RFCC)の組合せにより,副製品の生成を最小限に抑えつつ輸送用燃料と化学原料の製造収率を最大化することが可能である。このプロセススキームでは,重質油中に含まれる残留炭素やニッケル・バナジウム等の不純物により,RDS触媒/RFCC触媒ともに厳しい環境にさらされることから,技術的な困難を伴う。本論文ではまず,Ni-Moを担持したRDS触媒をパイロット試験装置に適用し,重質の常圧残油(AR)を水素化処理した結果を示した。RDSパイロット試験装置で触媒の寿命試験を行い,製品サンプルを採取して蒸留し,分析を行った。RDS用の新たに開発した触媒を適用するとともに運転条件を変化させて,より重質で不純物の多い残油を処理できるようRDSの能力向上を図った。次に,このRDS製品を原料として,Advanced Cracking Evaluation(ACE)試験装置を用いてRFCC触媒の反応性を確認した。改良されたRFCC触媒は残油中の耐メタル性を向上させ,原料油の分解を促進させる。RDS触媒とRFCC触媒の組合せを最適に選択することにより,重質な残油から高価値の留出油を高収率で製造できることを示した。

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© 2010 公益社団法人石油学会
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