種々のルテニウム前駆体より含浸法で調製したRu/Mn/Al
2O
3およびRu/Al
2O
3触媒を用いて流通式撹拌反応装置にてFischer-Tropsch(FT)反応試験を行い,H
2吸着量測定,TPR,XRD,TEMおよびXPSの各種キャラクタリゼーションを行った。Ru/Mn/Al
2O
3については,塩化ルテニウムより調製したRu(Cl)/Mn/Al
2O
3がアセチルアセトナトルテニウムおよびニトロシル硝酸ルテニウムより調製したRu(A)/Mn/Al
2O
3,Ru(N)/Mn/Al
2O
3よりも高い活性と安定性を示した。CO転化率はRu(Cl)/Mn/Al
2O
3≫Ru(A)/Mn/Al
2O
3>Ru(N)/Mn/Al
2O
3の順であり,この序列は同様に前駆体を変えたRu/Al
2O
3の場合のCO転化率の序列と一致した。キャラクタリゼーションの結果,ルテニウム粒子径および担体の細孔径が8 nmサイズであることが高いFT活性に寄与していることが示唆される。また,Ru(Cl)/Mn/Al
2O
3とRu(Cl)/Al
2O
3触媒を比較すると,Ru(Cl)/Mn/Al
2O
3が触媒劣化への高い耐性を示したのに対して,Ru(Cl)/Al
2O
3上では低い活性と急速な活性劣化が顕著に見られた。この結果から,塩化ルテニウムより塩素原子を奪う形で塩化マンガンが生じることにより,触媒表面上の金属ルテニウム活性種が増加し,触媒活性劣化が抑制されると考えられる。
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