抄録
発酵溶液からのバイオエタノールの分離 · 濃縮を目的とし,選定した溶媒を用いてエタノールの液液分配平衡を測定した。まず,製品がバイオ燃料であることを考慮し溶媒選択の方針を示した。m-キシレンを主溶媒とし,補溶媒をこれに混合することによりエタノールの溶解度を向上させることとした。カプリン酸,1-ヘキサノール,2-エチルヘキサノールを補溶媒として4成分系液液平衡を測定し,エタノールの抽出性能を評価した。主溶媒のm-キシレンのみを用いた3成分系液液平衡の場合,エタノールの分配係数は小さく,水に対するエタノールの選択度は高かった。補溶媒を使用した場合全てにおいて分配係数は向上したが,カプリン酸を用いた場合は分離の選択度が非常に低下した。1-ヘキサノールおよび2-エチルヘキサノールを用いた場合の分離の選択度には大きな違いはなかったが,1-ヘキサノールを用いた場合の方が2-エチルヘキサノールを用いた場合に比べて2相領域が小さく,2-エチルヘキサノールがより適した補溶媒であった。次に,2-エチルヘキサノールの濃度によるエタノールの分配への影響を測定した。少量の2-エチルヘキサノールの添加により分配係数は向上し,かつ分離の選択度はm-キシレンの場合のものと同等であった。また,一般および改定UNIFAC法を用いて測定した液液平衡を推定した。両方法は十分に液液平衡を満足に予測することができたが,改定UNIFAC法がより良い予測をした。しかし,濃度の低い範囲における油相中の水濃度の推算は難しく,実測値より大きく推算した。