Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
リン酸処理したH-ZSM-5触媒を用いたプロピレン高選択性によるMethanol-to-olefin反応
Dung Van Vu廣田 雄一朗西山 憲和江頭 靖幸上山 惟一
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2010 年 53 巻 4 号 p. 232-238

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抄録

H-ZSM-5ゼオライトを種々の濃度のリン酸水溶液に浸漬し乾燥させたリン酸修飾H-ZSM-5(P-HZSM-5),およびこれを水で洗浄した触媒を調製した。生成物のP/SiおよびSi/AlをEDXにて測定した。水で洗浄したP-HZSM-5のSi/Al比は,リン酸水溶液の濃度の増加とともに増加したことから,リン酸処理による脱アルミが起こったものと考えられる。洗浄後もリン種はゼオライト内に残存し,P/Si比はリン酸水溶液の濃度の増加とともに増加した。リン酸種はZSM-5細孔表面に強い相互作用で結合しているものと思われる。本触媒をmethanol-to-olefin反応に用いたところ,メタノールの転化率100%の条件で,57%以上の高いプロピレン選択性を示した。同時に,触媒の安定性も向上した。アンモニアTPD測定により,H-ZSM-5の強酸点の酸量がリン酸処理によって減少することが分かった。その結果,芳香族炭化水素およびコークの生成が抑制され,高い低級オレフィン選択性および触媒の優れた安定性が得られたものと思われる。

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© 2010 公益社団法人石油学会
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