2010 年 53 巻 4 号 p. 260-261
水蒸気雰囲気下で酸化鉄系触媒によるオイルサンドビチューメンの接触分解を行った。本反応では,酸化鉄の格子酸素を介して水蒸気から生成した活性酸素種とビチューメンの重質成分が反応し,軽質油が生成する。しかし,トルエン溶媒を用いたビチューメン分解ではコークが生成した。これは,重質なビチューメンと反応する活性種の生成が不足したためと考えられる。そこで,重質油と活性種との反応性を高めるため高沸点溶媒である1-メチルナフタレンを用いてビチューメンの分解実験を行った。その結果,コークの生成量が減少した。さらに,触媒/原料比が増加すると活性種の生成量が増加し,結果として,コークを生成することなく,多量の軽質油を製造することに成功した。