Journal of the Japan Petroleum Institute
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スルホン化ポリフェニレンオキシドを前駆体とする中空糸カーボン膜を用いたオレフィンガスの脱水
吉宗 美紀原谷 賢治
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2011 年 54 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

本研究では,エチレンやプロピレンなどのオレフィンガスからの選択的脱水に関して,二種類の中空糸カーボン膜の適用を検討した。一つは,スルホン化ポリフェニレンオキシド(H-SPPO)を600℃で炭化させて得られた細孔径0.4~0.45 nmのカーボン膜,もう一つはNa置換スルホン化ポリフェニレンオキシド(Na-SPPO)を用いて作製した細孔径0.3~0.35 nmのカーボン膜である。膜の細孔径がオレフィンガスの脱水性能に与える影響は大きく,後者のカーボン膜がエチレンやプロピレンに対して水の理想分離係数が非常に高いために,優れた脱水性能を示すことが分かった。このカーボン膜は,膜面積あたりの供給ガス流量30 L・m−2・min−1において,供給ガス中に含まれる4.4 vol%の水蒸気の95%を選択的に脱水することが可能であった。また,このカーボン膜はオレフィンガスに対して十分な耐性を有しており,供給圧力を増加させると脱水量も増加し,供給圧力0.5 MPaにおいて97%以上のプロピレンガス脱水率を得ることができた。

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© 2011 公益社団法人石油学会
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