2012 年 55 巻 3 号 p. 191-196
アルミナに担持した白金ナノ粒子の分散状態を化学吸着法により検討した。その結果,いずれの白金分散度においても水素の化学吸着量は一酸化炭素と比較して高くなった。特にナノサイズの白金粒子の場合,水素の化学吸着量からは100 %を超える白金分散度が算出された。白金分散度の異なるPt/Al2O3上に吸着した水素種のFT-IR測定から,ナノサイズの白金粒子上に解離吸着した水素種はアルミナ上にスピルオーバーすることが推察された。白金ナノ粒子上に解離吸着した水素は室温においても一酸化窒素(NO)と容易に反応し,窒素を生成する。一方,白金粒子とアルミナ担体の界面付近にスピルオーバーした水素種は亜酸化窒素(N2O)の生成に寄与することが推察された。