Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
コバルト担持酸化ダイヤモンド触媒によるフィッシャー・トロプシュ反応—Mn添加による触媒特性への影響—
北野 哲田戸 励三宅 孝典鈴木 俊光
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2012 年 55 巻 3 号 p. 197-205

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抄録

酸化ダイヤモンド担体(O-Dia)を用いる一連の触媒反応に関する研究において,Mnを共担持したCo/O-Dia触媒を用いるフィッシャー・トロプシュ反応を検討した。Co/O-Dia触媒にMnを共担持することにより,CO転化率は著しく向上し,炭素数5以上の液状炭化水素(C5+)の選択率もわずかに高くなった。同時に,C5+中のオレフィン炭化水素の割合が著しく増大した。Mn添加による活性の向上はO-Dia表面上での金属Co粒子の分散の向上によることが認められた。最適のMn添加量はCo担持量5 wt%のときに,Coに対し0.05~0.1 molであった。反応温度230 ℃,空間速度SV=4500 mL · h−1 · g-cat−1においてCO転化率85 %,連鎖成長確率a=0.81を得た。Mnを共担持したCo/O-Dia触媒において触媒前駆体のCoOx種は温和な条件で水素還元された。Co担持量5 wt%のとき粒子径分布は3~11 nmと狭く,平均粒子径7.9 nmと極めて分散の良好な金属Co種が得られた。一方,Mnの存在しないときにはCo粒子の分散は広がり,4~30 nmにわたり平均粒子径も14.9 nmと増大した。MnはCoOxの水素還元時にCo粒子の凝集を防ぐことに大きく寄与している。

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© 2012 公益社団法人石油学会
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