2012 年 55 巻 3 号 p. 206-213
Sn添加アルミナ担持Pt触媒を用いてn-ブタン脱水素反応を行った。従来の調製法である塩化スズと塩化白金酸をアルミナ担体へ共含浸する方法で調製した触媒(Pt–Sn/Al2O3と表記)では,焼成時にSnの損失があった。調製方法の改良を目的とし,ゾル-ゲル法を用いてSnO2–Al2O3担体の調製を行い,含浸法によりPtを担持した(Pt/SnO2–Al2O3と表記)。XRF測定より,この方法では焼成時のSn損失は確認されず,高い濃度でのSnの添加が可能となった。n-ブタン脱水素反応を行った結果,Pt/SnO2–Al2O3はPt–Sn/Al2O3よりも高活性を示し,Snの添加効果が顕著に発現することが分かった。Pt/SnO2–Al2O3は,Snが主に酸化物として担体表面上に分散しており,Pt–Sn/Al2O3よりも高いCO吸着量を示した。XRD測定より,Pt–Sn/Al2O3では不活性相PtSn2の形成と粒子成長が確認された。一方,Pt/SnO2–Al2O3ではPt由来の結晶相は確認されず,高分散な活性相Pt3Snが形成していると考察した。広く担体表面に分布したSn酸化物は担体表面上の副反応とSn過剰なPtSn2相の形成を抑制するため,n-ブタン脱水素反応において高活性を示したと考察した。