2013 年 56 巻 5 号 p. 344-348
バイオディーゼル製造において低価格原料油である粗パーム油(マレーシア産)および粗ジャトロファ油(タイ産)を使用した。遊離脂肪酸(FFA)除去のため,NaOHによる中和およびH2SO4を触媒としたメタノールによるエステル化の2種類の処理を検討した。両処理はFFAを低減させることができ,処理油を用いてエステル交換反応も可能であった。酸処理による脱酸よりも塩基を用いた場合の方が処理油の収率は小さかった。しかし,酸処理には長い反応時間が必要であった。FFAが0.03以下となっている処理油ではNaOHやCH3ONaを触媒としたエステル交換反応が可能であり,処理済み粗ジャトロファ油を原料としCH3ONaを用いた場合ではエステル交換反応における収率が0.99以上となった。粗ジャトロファ油に対して粗パーム油は短鎖脂肪酸による単純脂質が多く含まれ,けん化の影響が顕著であり,エステル交換反応において収率が低くなった。