Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文 ─ 特集「名古屋大会」 ─
キュリー・ポイント・パイロライザー法を用いたゼオライト含有ミクロ孔とメソ孔の混合触媒による大豆油の接触分解反応
Thanita SONTISAWATE那須 弘行橋本 忠範石原 篤
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2016 年 59 巻 5 号 p. 184-196

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抄録

階層構造を持つゼオライト含有触媒を,ゲル骨格補強法により作製したメソ孔を持つマトリックス(大きなメソ孔を持つシリカおよびシリカ−アルミナ),マイクロ孔を持つゼオライト(βおよびY)およびバインダーを用いて作製した。作製した触媒をX 線回折法,窒素吸脱着測定,アンモニア吸脱着測定と熱重量,示差熱分析で調べた。簡便なキュリー・ポイント・パイロライザー法を用いて触媒活性と生成物の選択性に対する細孔サイズの効果を研究するために,混合触媒を用いて大豆油の接触分解を行った。ゼオライトを含む混合触媒は,ゼオライト単独と比較して,転化率が最大で31 %,ガソリン収率が10 %上昇し,さらにコーク生成が最大36 %減少するなど明らかに触媒としての特性の向上が見られ,マトリックスの存在が接触分解に大きく影響した。ガソリン収率と単分枝,多分枝炭化水素の収率は転化率が向上するほど増加し,転化率の向上が生成物の収率向上に不可欠であった。さらに,これらの生成物の収率を同じ転化率で比較したとき,Y ゼオライト含有触媒の方がβゼオライト含有触媒より高い収率を示し,触媒中のY ゼオライトのより大きなミクロ孔がガソリン留分を増加させ,かさ高い生成物の生成へと導いた。大豆油の転化率は,βゼオライト含有触媒では,細孔サイズが大きくなるほど増加し,比較的大きな細孔を持つMAT(200S)-βとMAT(200SA)-βに対し最大値を示し,反応物と生成物の拡散が触媒活性に影響を及ぼした。この現象とは対照的に,比較的小さなメソ孔を持つMAT(0S)-Y とMAT(0SA)-Y は,Y シリーズ触媒で最大の転化率を示した。

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