2016 年 59 巻 5 号 p. 174-183
セリア担持白金触媒を用いて低温電場中でエタノール水蒸気改質を行い,活性や選択性に及ぼす電場の効果を検討した。従来の触媒反応では反応が進行しない423 Kという低温においても,電場を印加することでエタノール水蒸気改質が進行した。白金はエタノール水蒸気改質の活性点として働くことが示された。電場印加によって三つの素反応(エタノール脱水素,アセトアルデヒド分解,アセトアルデヒド水蒸気改質)の活性化エネルギーは低下し,エタノール転化率や水素収率が増加した。特に,アセトアルデヒド水蒸気改質が印加電流値の増加に伴って423 Kという低温でも選択的に促進された。電場印加によって低温でも反応性の高いアセテート吸着種が形成されることがin-situ DRIFTS測定により示され,これが水素収率の向上に寄与した。本触媒プロセスによってバイオエタノールから水素の低温での製造が可能となる。