2017 年 60 巻 2 号 p. 63-71
従来の粉砕や比重分離等の機械的手法では基板や炭素繊維強化プラスチック等の複合材料から有用資源を回収することは困難で,新しい資源回収技術が必要とされている。当研究グループでは,水素供与性溶剤,バイオマス由来の溶媒,触媒を用いた低温ガス化の3種の化学的な手法を用い,種々の複合材料からの資源回収を検討した。水素供与性溶剤を用いると熱硬化性樹脂の一種であるレゾール型フェノール樹脂を可溶化し,ポリ塩化ビニルから有機塩素化合物をほとんど含まない液体生成物が得られた。また,エポキシ基板はバイオマス由来の液化物中で加熱すると可溶化され,その可溶化物を熱分解して得られる液体生成物は溶媒として循環利用できることを見出した。さらに,触媒を添加するとプラスチック等を比較的温和な条件下でガス化でき,電子基板から有用資源を回収できることを見出し,複合材料からの資源回収において化学的手法が有効であることを明らかにした。