2017 年 60 巻 5 号 p. 248-255
シェールガス開発における正確なガス量評価とCO2を用いた多段階フラッキングによるシェールガス開発の環境負荷軽減に資するため,ケロジェンのミクロ孔におけるCH4分子の吸着挙動とCH4分子とCO2分子の置換挙動およびこれらの分子の移動に及ぼすH2O分子の影響について,分子動力学シミュレーションにより検討した。その結果,ケロジェンのミクロ孔でのCH4分子密度はケロジェンのメソ孔でのCH4分子密度の約1.8倍となり,この吸着ガス量の評価にはミクロ孔充填を考慮した吸着モデルを用いる必要があることが分かった。また,直線的な構造のCO2分子は正四面体構造のCH4分子と比べてミクロ孔の狭い喉部を通過しやすく,他のヘテロ原子に比べてケロジェン分子に多く含まれる酸素原子はCH4分子よりもCO2分子に対して強い親和性を示すことから,CO2分子はCH4分子よりも容易にケロジェンに吸着してCH4を置換することが示された。さらに,ケロジェンのミクロ孔にH2O分子が存在する場合,水素結合によるH2O分子の集積によってCH4分子の移動経路が閉そくされるためCH4分子の置換が妨げられることが分かった。