Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
水素キャリアとしてのメチルシクロヘキサンの繰り返し使用による触媒活性ならびに副生成物への影響
崔 協力石井 美香辻村 拓谷口 貴章橋本 康嗣難波 哲哉
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2019 年 62 巻 2 号 p. 67-73

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抄録

再生可能エネルギーの有効活用を目指して,長期貯蔵ならびに大量運搬のため,液体有機ハイドライドは水素キャリアとして注目されている。本稿では,メチルシクロヘキサン(MCH)による水素の貯蔵 · 放出システムに着目し,MCH脱水素反応/トルエン(TOL)水素化反応を繰り返し行った際の触媒活性ならびに副生成物蓄積への影響を検討した。MCH脱水素反応/TOL水素化反応はPt脱水素触媒とNi水素化触媒を用いて,10回繰り返された。どの工程においてもTOL転化率は97 %を超えたが,MCH転化率は繰り返し使用に伴い90 %から84 %まで減少した。副生成物の濃度が繰り返し中に0.7~0.9 %の範囲で推移した。副生成物として70種類以上の生成物が同定され,副反応の種類によって脱メチル化物,開環物,5員環または6員環化合物を形成する異性化物,二量化物,および多環式化合物など6種類に分類した。10回繰り返し試験後,脱メチル化物が最も多いことが分かった。

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© 2019 公益社団法人石油学会
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