Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
光析出法により調製したチタニア担持Pdナノ粒子を用いたフルフラール脱カルボニル化によるフラン合成
桑原 泰隆 岡田 雅広今井 啓貴UNRUANGSRI JunjudaANUTRASAKDA WiparkPRASERTHDAM Piyasan三宅 孝典山下 弘巳
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2020 年 63 巻 4 号 p. 204-212

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抄録

バイオマス由来フルフラールの脱カルボニル化反応によって得られるフランは溶媒や燃料,高分子製造の原料として利用できるため,本反応はバイオマス資源有効利用に向けた魅力的な反応の一つである。これまで,Pdナノ粒子触媒が本反応に有効であることが分かっているが,高温高圧の厳しい反応条件が必要とされていた。本研究では,チタニアの光応答性を利用した光析出法(PAD法)によりチタニア担持Pdナノ粒子触媒を調製した。透過型電子顕微鏡やX線吸収微細構造測定により,PAD法を用いることで従来の含浸法に比べより微細なPdナノ粒子をチタニア担体上に高分散担持できることが分かった。特に,チューブ構造と高表面積を有するNa型酸化チタンナノチューブ(TNT)を担体に用いた場合に高活性なPdナノ粒子が得られ,液相でのフルフラールの脱カルボニル化反応において,従来法で調製したPdナノ粒子触媒に比べ優れた触媒性能を示した。触媒活性と担体上に固定化されたPdナノ粒子の粒子径との間には明らかな相関が見られ,幾何学的考察から,Pd0ナノ粒子のエッジやコーナーサイトに位置する配位不飽和なPd種が本反応の活性点であると推察された。

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