2021 年 64 巻 3 号 p. 113-122
1999年の海洋砂層におけるメタンハイドレートの発見以降,メタンハイドレート胚胎堆積物に関する我々の理解は急速に進展している。南海トラフのメタンハイドレート貯留層に対して行われた包括的な研究は,この研究に大きく貢献している。検層と圧力コア解析を組合せた貯留層評価は,砂層型メタンハイドレートの探査において標準的な手法となっており,これによりハイドレート飽和率が50~80 %もの高飽和率に達する場合でも,有効浸透率が1~100 mdの範囲におさまることが明らかになった。ガス生産に関する数値計算および実験研究は,減圧法によるフィールドスケールのガス生産が流動および伝熱に律速されることを示している。その意味において,砂層型メタンハイドレートが高浸透率を有することは,一次回収としての減圧法の適用可能性を示唆しているが,減圧法では熱の不足によりハイドレート分解が制限され,その結果,回収率は40 %程度に留まってしまう。そのため,商業化の実現性を高めるには増進回収法が必須である。実験および数値計算による研究によって,水圧破砕は生産レートを高め,地熱を利用する繰り返し減圧法や氷の生成潜熱を利用する強減圧法は,エネルギー効率を維持したまま回収率を高めることが明らかになっている。