2021 年 64 巻 5 号 p. 245-255
本研究に用いたナノ構造を有するCu/ZnO触媒は,安価な金属硝酸塩を原料とし,操作が簡単な固体反応法によって調製した。また,調製時に異なるキレート剤(クエン酸,ギ酸,シュウ酸)を添加することで,Cu/ZnO触媒の物性が変化することを明らかにした。構造解析の結果から,添加したキレート剤の種類によって焼成後の触媒のCuO結晶サイズ,酸素欠陥および表面組成が変化し,それによりCuO–ZnO相互作用および還元性が変化することが分かった。さらに,異なるキレート剤の添加は,還元後の触媒の比表面積,Cu0表面積,Cu結晶サイズ,およびXRDピーク強度に基づいて計算されたZnO(002)面とZnO(100)面の強度比(I(002)/I(100))に大きな影響を与え,適切なキレート剤を使用した触媒はCO2を含む合成ガスからの低温メタノール合成の活性向上に効果的であった。この結果から,触媒構造と活性の相関関係,特にメタノールの空時収率(STY)とCu0表面積およびI(002)/I(100)との関係が明らかになった。シュウ酸で調製されたCu/ZnO触媒は,最も高いSTY値を示し,クエン酸とギ酸で得られた触媒のそれぞれ2.3倍と5.3倍であった。この優れた触媒性能は,Cu0表面積が大きい,比表面積が大きい,Cu結晶子サイズが小さいことに起因した。還元された触媒中のCuとZnOとの間の強い相互作用は,低温メタノール合成の触媒活性を向上させることが分かった。