2022 年 65 巻 1 号 p. 1-10
今後数十年で二酸化炭素の正味の排出量ゼロ(ゼロ・エミッション)を達成するには,二酸化炭素の分離,貯蔵,利用などの革新的な新技術の開発が必要不可欠である。ケミカルループ法は,追加のエネルギー投与を必要としない二酸化炭素分離型の発電技術で,二酸化炭素を化学原料に変換する効率的なエネルギー変換システムや産業応用を提供する技術である。適切な二酸化炭素の貯留と利用技術を組み合わせることで,ケミカルループ法を用いたゼロ・エミッションが達成可能である。本総合論文では,ケミカルループシステムの循環媒体である酸素キャリア粒子の材料開発や複数の反応器から構成されるシステム設計について,著者らの研究を中心に,開発の課題,利点,および今後の展望について述べ,材料,反応,システム,および経済性の観点からケミカルループシステムの最新の動向について解説する。