2020 年 76 巻 2 号 p. I_360-I_365
大型船舶に備え付けられているスラスターにより発生したジェット流に起因する岸壁周りの洗掘が全国で問題となっている.しかし,ジェット流による岸壁周りの洗掘に関する研究は少なく,ジェット流による底面流速や洗掘メカニズムの詳細は未だ不明のままである.そこで本研究では,実験と数値シミュレーションを用いて海外で提案されているジェット流と岸壁との衝突を考慮した底面流速推定手法を評価すると伴に,スラスターと岸壁の相対位置が洗掘形状に与える影響を検討した.その結果,条件によって底面流速推定式は実験及び数値シミュレーションを過小評価し,洗掘深推定式は実験及び現地調査結果を過大評価することが分かった.また,ジェット流と岸壁の衝突の有無に応じた底面流速によって岸壁前面の洗掘形状が大きく変化することを示した.