2022 年 65 巻 3 号 p. 116-124
メソポーラスシリカSBA-15を窒化したNSBA-15は,シリカ骨格酸素原子の一部が窒素原子に置換され,その窒素原子の非共有電子対が塩基点として作用する。また,SBA-15をテンプレートとして調製した多孔性カーボンナイトライドPCNも,窒素原子が塩基点として作用する。NSBA-15とPCNを用いてベンズアルデヒドとマロノニトリルおよびシアノ酢酸エチルのKnoevenagel縮合を行ったところ,NSBA-15はpKaの大きい基質を用いても反応が進行した。これは,NSBA-15中の窒素サイトが脂肪族アミンに近い状態であり,PCN中の窒素サイトは芳香族アミンであるためと考えられる。PCNのC–N結合はSi–Nに比べて加水分解されにくいため,触媒反応および大気中の長期間保管においてNSBA-15よりも高い耐久性を示した。