Journal of the Japan Petroleum Institute
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総合論文
糖および糖アルコールから化学品を合成するための固体酸触媒の開発
大友 亮一
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2024 年 67 巻 4 号 p. 111-118

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抄録

本総説では,糖類や糖アルコール類から有用な化学品を合成するための高性能な固体酸触媒の開発に関する我々のこれまでの取り組みを解説する。ルイス酸点とブレンステッド酸点の両方を有したゼオライトベータがグルコースから5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)へのワンポット合成に対して有効な二元機能触媒として働くことを見出した。特に,Al原子密度の高いゼオライトベータのルイス酸点とブレンステッド酸点の密度を制御することで,70 %以上の高収率でHMFの合成を達成した。また,フルフラール類を有用化学品に誘導体化するための触媒の開発にも取り組んだ。ハフニウム含有ゼオライトベータや低原子価チタン酸化物微粒子の新しい合成法を確立し,それぞれフルフラールの移動水素化,アセタール化に極めて高い活性を示した。さらに,Al原子密度の低いゼオライトが水中でのソルビトールからイソソルビドへの脱水反応に対して高い活性を示すことを見出した。このようなゼオライトは固体表面が疎水的であるため,水による失活が起こりにくく,高温の水中でも高い活性と高い耐久性を発揮した。

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