2024 年 67 巻 5 号 p. 203-207
液相CO2水素化の高効率化を実現する新規多相系触媒反応場を探索し,水と有機溶媒(n-ヘキサン)で構成されるエマルションにおいてCO2とH2からギ酸が合成できることを見出した。本触媒反応システムでは有機相へのCO2加圧溶解によりCO2膨張液体(CO2-expanded liquid: CXL)が形成され,CXLが気体反応物であるH2の溶解を促進する。CXL反応場においてPd触媒上に生成したギ酸は液-液界面で水相に物質移動することにより触媒回転が加速し,30 ℃,3 hの反応によって触媒重量あたり最大13.1 mmol g−1のギ酸生成を確認した。種々の活性炭担体を用いてPd/Cを調製し,本反応に有効な触媒構造を検討した結果,本反応場におけるCO2水素化は構造鈍感反応であり,Pd活性サイトの増加に伴い反応速度が向上することが分かった。また,Pd粒子径が小さいほど反応の進行に伴う活性低下が抑制されたことから,活性炭担体上により微細なPdナノ粒子を形成することによって液相CO2水素化のさらなる反応加速が期待される。