2025 年 68 巻 5 号 p. 150-161
MoO3触媒は,アセトンの水素化脱酸素反応(HDO)によって基幹化学品であるプロピレンを合成する反応において高い初期活性を示すが,過剰な還元や炭素析出により容易に失活することに課題があった。本研究では高いレドックス能を有する多核のモリブデン酸化物クラスターを前駆体として調製した担持モリブデン酸化物クラスター触媒を用いることで,長寿命 · 高活性なアセトンからプロピレンへのHDOを達成した。担持モリブデン酸化物クラスター触媒では,アセトンによる触媒再酸化に必要な温度がMoO3より低温化することで触媒の過剰な還元による失活を抑制したものと推定される。モリブデン酸アンモニウムを前駆体に用いた最適触媒((NH4)6Mo7O24/SiO2)においては,24時間に渡り75 %以上のプロピレン収率を維持した。