2026 年 69 巻 1 号 p. 42-50
Cu/HZSM-5を触媒として用いたベンゼンの気相接触酸化反応を行い,フェノール生成機構の解明を試みた。Cu/HZSM-5触媒の焼成温度依存性を調べたところ,焼成温度の上昇に伴い,触媒のルイス酸サイトが増加し,フェノール生成活性も向上することが明らかとなった。これは,高温焼成により担体であるゼオライト中のアルミニウムが骨格外に移動し,形成した骨格外アルミニウムがルイス酸サイトとして機能することで,反応基質であるベンゼンの吸着サイトとして作用し,フェノール収率の向上につながったものと考えられた。さらに,フォトルミネッセンススペクトルから,ゼオライト中のCu2+がベンゼンとの相互作用でCu+に還元され,酸素の吸着でCu2+に再酸化されるサイクルが示唆された。このCu種の酸化還元過程で生成した活性酸素種により,ルイス酸サイトに吸着したベンゼンが酸化され,フェノールが生成すると推測された。