2026 年 69 巻 2 号 p. 99-103
NOxからのアンモニア合成は,N2とH2を原料ガスに利用する従来型のプロセスにおける最大の課題であるN2三重結合解離を回避すると同時に,大気汚染物質を有効利用できる有望な代替手法である。本総説では,COまたはH2を還元剤とするNOxからアンモニアを合成する反応に関する我々が最近得た研究進展を概説する。Pt/TiO2,Cu/CeO2,Ni/CeO2を基盤とする触媒は,系に添加される還元剤が直接的にNOを還元するのではなく,ギ酸塩やイソシアネートといった中間体を経由する反応経路を示した。Pt/TiO2ではTiO2の結晶相や調製法の最適化によってPtの分散が向上し活性が増大した一方,Cu/CeO2は貴金属を含まずとも低温で高い性能を発揮した。Ni/CeO2はイソシアネートを介する経路で触媒作用を示し,Ni–Pt/TiO2も同様にこの経路が主な反応経路であった。さらに,部分的に還元されたPt/TiO2–δは副生成物のN2Oをほぼ完全に抑制することも分かった。これらの結果は,NOxからの選択的かつ低温でのアンモニア合成においては,中間体を標的とした合理的な触媒設計が有効であることを示している。