2026 年 69 巻 5 号 p. 243-251
本研究では,バイオエタノールからのBTX(ベンゼン,トルエン,キシレン)生成におけるZn-ZSM-5ゼオライトのリン(P)修飾の効果を検討した。XRD,N2吸着,SEM,FT-IRなどによる物性評価と固定床反応試験により,P修飾がゼオライトの結晶性を維持しつつ,水熱安定性の向上とコーク生成抑制に有効であることを確認した。特に,P/Alモル比1.1となるようにP修飾したZn-ZSM-5は,40時間の連続反応後においても初期BTX収率の95 %を維持し,コーク生成速度が著しく低減した。P修飾により比表面積のわずかな低下が観察されたが,この主要因はP修飾によるわずかな結晶性の低下と推察され,細孔の一部閉そくの寄与も示唆された。さらに,ピリジン吸着FT-IRでは,Zn導入によりブレンステッド酸点の減少とルイス酸点の顕著な増加,P修飾によりZn由来のルイス酸点が減少することが確認され,Pが主にZnと選択的に相互作用していることが示唆された。以上の結果から,P修飾Zn-ZSM-5は,バイオエタノールからの持続的なBTX製造に適した高性能触媒であると結論された。