抄録
エチレングリコールテレフタレート (EGT) の重縮合反応に及ぼす温度, 触媒量及び安定剤量の影響を検討した。温度は275°C, 280°C及び285°C, 触媒(三酸化アンチモン) 量は0.01, 0.03, 0.06及び0.09wt%, 安定剤量 (リン酸トリフェニル)は0, 0.01, 0.03, 0.06及び0.09wt%の各条件を組み合わせて行い, 圧力1.0mmHg, かくはん回転数 (rpm) を40として重縮合反応実験を行った。反応時間と重合度との関係から副生物の拡散を考慮してEGT生成の生反応であるエステル交換重縮合反応の活性化エネルギーを得た (Fig. 1)。
Cx=0かつCz=0の場合, E0=40.0kcal/mol
Cx_〓0かつCz_〓0の場合, E1=18.5kcal/mol
ここで
Cx; 触媒のモノマーに対するwt%
Cz; 安定剤のモノマーに対するwt%
E0, E1; エステル交換重縮合反応活性化エネルギー (kcal/mol)
また反応速度のひん度因子は触媒添加量に比例し (Fig. 2) 次式で表される。
k1=(84.5•Cx)108•e-18,500/RT+4.0×1016•e-40,000/RT (4)
ここで
k1; エステル交換重縮合反応速度定数 (_??_mol•hr)
R; 1.987cal/mol•°K, T; 反応温度(°K)
さらに安定剤の添加によってk1は小さくなるが, Fig. 1から活性化エネルギーは一定であるので, 添加量に対するひん度因子の変化の割合は次式で表される (Fig. 3)。
log(a×10-8)=-7.28•Cz+2.36 (0.01_??_Cz_??_0.09) (5) ここで a; 安定剤添加量に対するひん度因子変化のこう配。従って, 触媒及び安定剤量変化に対するk1は次式で整理された。
k1=(2.29×1010•e-16.8•Cz)•Cx•e-18,500/RT+4.0×1016•e-40,000/RT (6)
上式を用いることにより, 温度, 触媒量及び安定剤量に対するEGTのエステル交換重縮合反応速度定数を得ることができる。得られた結果は反応器の設計に適用できる。