1982 年 25 巻 6 号 p. 355-359
4-ビニル-1-シクロヘキセンの位置選択的酸化反応は種々の多官能性誘導体の合成に有用である。そこで, Mo(VI) やSe化合物を触媒とする酸化反応を試み, 反応における位置•立体選択性および従来の過酸法による結果と比較検討した。反応は, 溶媒と酸化剤の混合溶液に触媒を加え, 基質を徐々に滴下して種々の条件でかくはん反応させた。その結果, エポキシ化反応では, シクロヘキセン環エポキシドを好収率で与え, 高い位置選択性でもって反応が進むことが明らかとなった。一方, 触媒によるヒドロキシル化反応では, 同様に位置選択的にシクロヘキセン環ジオールを与えたが, この際の立体選択性は過ギ酸を用いた場合とは異なることが明らかとなった。