1982 年 25 巻 6 号 p. 349-354
ワッカー法によるn-ブテンからの工業的メチルエチルケトン製造の可能性をさぐるため, 室温, 大気圧下でn-ブテンのカルボニル化反応および金属パラジウムの酸素による酸化反応を行った。1-ブテンのカルボニル化反応は塩化パラジウム濃度の2乗に比例し, 塩酸濃度の4乗に反比例することから, 反応中間体として[PdCl2]2•[n-C4H8]2 2核錯体を経てカルボニル化反応が進行していることが考えられる。金属パラジウムの酸素による酸化も室温で反応が進行することを認め, 触媒液の組成の反応速度におよぼす影響について知見を得た。