石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
水溶性潤滑剤の耐荷重能
中村 鉄太郎高浜 彰吾広中 清一郎
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1982 年 25 巻 6 号 p. 376-379

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抄録

水溶性潤滑剤の耐荷重能をシエル式高速四球試験機を用いて検討した。高級脂肪酸のカリウム塩 (カリウム石ケン) と, カリウム石ケンを含む市販の水溶性潤滑剤3種類の焼付荷重を, 全油分濃度をかえて測定した。
全油分濃度の変化により, いずれの場合にも焼付荷重に極大が現れ, 石ケン単独あるいは, 水溶性潤滑剤の臨界ミセル濃度(cmc) と, それらの極大値を示す濃度がほぼ一致した。
界面化学的な考察として, 表面張力とpHの測定を行い, それらが焼付荷重の変化傾向と対応していることを確認した。
試験の回転速度と焼付荷重の関係を Fig. 2に示し, 全濃度(油分を含む) と焼付荷重の関係を Fig. 3に示した。Fig. 3より, 水溶性潤滑剤は1%前後, カリウム石ケンは0.1%付近に焼付荷重の極大値を持つことがわかる。同時に Fig. 4の表面張力図 Fig. 5のpH図からも, Fig. 3に焼付荷重極大濃度に対応したcmc濃度およびpHの極大を示す濃度がそれぞれ観測された。
今回の測定により, 低濃度における水溶性潤滑剤の耐焼付性は, 石ケンの金属面への吸着の濃度特性および, その吸着膜中の油分に, 大きく依存していることが推定された。

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