1983 年 26 巻 4 号 p. 247-252
活性炭表面上での炭素繊維の密生を目的として, 鉄および硫黄の触媒作用の相乗効果を検討した。300~1,100Åの鉄粒子を0.82wt%含む活性炭を基板として, 硫化水素を2.5%含むベンゼンと水素の混合ガスを1,100°Cで30分以上熱分解すると, 直径0.1~2μm長さ20~100μmの炭素繊維が活性炭表面に放射状に密生した。その生成密度は5~10×104本/mm2であり, 鉄または硫化水素を単独で用いたときの約1,000倍であった。密生した炭素繊維の先端には, 繊維直径と同程度の大きさのFeS粒子が存在することから, この粒子が炭素繊維の成長点となると推察した。繊維の構造•結晶性は, 従来の気相成長炭素繊維と類似していた。