酢酸マンガン(III)を触媒として, トルエン誘導体の酸化反応を行った。特にp-メトキシトルエンの酸化に関して動力学的に詳しい検討を行った。この酸化反応は非常に再現性のないものであったが, 系内に少量のH2Oを添加することによって再現性のあるデータが得られるようになることがわかった。得られた速度式は従来報告されているものと異なり, Mn (III), p-メトキシトルエンの各濃度に1次に依存し, Mn(II)の濃度には依存しないことを見い出した。p-メトキシトルエンの代わりに他のトルエン誘導体を用い, 種々のカルボン酸溶媒中で反応を行うことにより, 開始反応はトルエン誘導体のMn(III)への配位を含むことを推定した。