1984 年 27 巻 6 号 p. 519-524
ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛 (IPZDP) の酸化防止能をCaスルホネートおよびコハク酸イミドなどの清浄分散剤が共存する系で評価した。酸化試験, クメンヒドロペルオキシド分解実験およびラジカル捕捉能の測定結果から, IPZDPに期待される二つの酸化防止能 (ラジカル捕捉能とヒドロペルオキシドのイオン分解能) のうち, ラジカル捕捉能は清浄分散剤が共存しても影響をうけないことがわかった。一方, ヒドロペルオキシドのイオン分解能は条件によっては著しく抑制されてしまうことがわかった。したがって清浄分散剤共存下でのIPZDPの酸化防止能は主にラジカル捕捉剤としての機能であり, ヒドロペルオキシド分解剤としての機能は弱いと推察される。