石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
数種類のオイルシェールの部分燃焼式乾留
佐藤 信也榎本 稔高橋 至朗
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1989 年 32 巻 5 号 p. 268-272

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抄録

オイルシェール乾留に必要な熱エネルギーは通常廃シェールの燃焼により供給されるが, 廃シェール上の残留炭素量が少ないと, 生成した油の蒸気の一部が燃焼し, 油収率を低下させる可能性がある1)。我々は前報2)でタイまたはコロラド産オイルシェールを充てんしたシリカチューブ内に空気を送り込むだけで廃シェールの燃焼を継続でき, その熱で乾留ができる事を明らかにした。ここでは上記2種類 (AおよびB) を含む11種類のオイルシェール (C: ワイオミング, D: オハイオ, E: コンドル, F: ランドル, G: ヤンバ, H: テイマディー, I: カラク, J: 青海省, K: ランスタッド) について部分燃焼式乾留を行い, 生成油の収率及び性状, 空気導入量について検討した2),3)。
本実験の生成油収率は Fischer assay 収率が9%以上のもの (A, B, C, F, G, H, I, J) では Fischer assay 収率基準で80-105%であったが, 9%以下のもの (D. E. K) ではこれよりかなり低くなった (Table 1, Fig. 1)。特にEでは, オイルシェール中の有機炭素含有量が少ないため, 乾留に必要な熱エネルギーは廃シェール上の残留炭素の燃焼だけでなく, 生成油の蒸気の一部の燃焼により供給されたと考えられる。
乾留に必要な空気導入量はケロージェン中の芳香族炭素含有量に比例する傾向にあり4), ケロージェンの芳香族性が0.4以上のオイルシェール (J, K) では他のものより多量の空気を必要とした (Table 2, Fig. 2)。
本実験の生成油は Fischer assay のものに比べ, 大きな密度及びH/Cを示した。

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