石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
HFC系冷媒用冷凍機油
小松崎 茂樹本間 吉治
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1994 年 37 巻 3 号 p. 226-235

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抄録

オゾン層の破壊を防止するため, カーエアコンや家庭用冷蔵庫に広く用いられてきたCFC-12はHFC-134aに替わりつつある。しかし, これらの機器に対して, 単にCFC系冷媒をHFC-134aに替えただけでは従来と同じ信頼性は得られない。新しい冷媒を用いた場合, 新しいシステムとそれに用いられる新たな材料の開発が必要である。材料の中で, 潤滑油の特性は圧縮機の耐久性に直接影響するので, 適正な潤滑油の開発は極めて重要である。本報では, 冷媒圧縮機用潤滑剤に対して要求される特性, 冷媒との相溶性, 潤滑性, 化学安定性などについてポリアルキレングリコール油とポリオールエステル油を評価した。潤滑油の分子構造の変性と多くの添加剤の適用によってバランスの取れた潤滑剤が得られた。しかし, 冷凍システムの信頼性をさらに高めるためには, 次の課題を解決しなければならない。(a)添加剤の消耗速度の低減, (b)添加剤間の相互作用, (c)添加剤の相互作用の化学安定性, 潤滑性等への影響。さらに, 潤滑剤がどんなに潤滑性に優れていても, 冷媒の濃度が高くなると潤滑性は極度に低下することも考慮しなければならない。

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