石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
パラジウム触媒を用いるカルボニル化-重縮合によるカルバゾールを骨格とする芳香族ポリアミドの合成
窪田 好浩竹内 和彦花岡 隆昌杉 義弘
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1995 年 38 巻 2 号 p. 130-136

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抄録

含ビフェニル耐熱性芳香族高分子の官能基化による機能性材料の開発を目的として, カルバゾール骨格を有する修飾可能なポリアミドを合成した。2,7-ジブロモ-9,10-ジヒドロフェナンスレンとビスフェノールAまたは4,4'-ジアミノジフェニルエーテル (5) のカルボニル化重縮合の結果に基づき, パラジウム触媒による9-置換3,6-ジブロモカルバゾール (1) とジアミン5のカルボニル化重縮合条件の最適化を検討した。高分子合成に先立ち, カルボニル化条件下での9位の置換基の安定性を調べた。N-およびO-ベンジル基はカルボニル化条件下安定であった。9-ベンジル-3,6-ジブロモカルバゾール (1a) とジアミン5のカルボニル化重縮合により, ポリ [アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル(9-ベンジル-3,6-カルバゾールジイル)カルボニル] (6a) が収率98% (ポリスチレン基準重量平均分子量 (Mw)=30,000) で得られた。また, 9-(2-ベンジルオキシエチル)-3,6-ジブロモカルバゾール (1b) とジアミン5のカルボニル化重縮合では, ポリ {アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル[9-(2-ベンジルオキシエチル)-3,6-カルバゾールジイル] カルボニル} (6b) が収率99% (ポリスチレン基準Mw=22,100) で得られた。ポリマー6aおよび6bの空気中での10%重量減少温度 (T10) はそれぞれ346°C, 333°Cであった。20%水酸化パラジウム-炭素を触媒とする6bの水素化分解によりポリ{アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル[9-(2-ヒドロキシエチル)-3,6-カルバゾールジイル]カルボニル} (6c) が定量的に得られた。ポリマー6a-cはジメチルホルムアミド (DMF) に可溶であり, キャストフィルムを形成した。

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