石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
38 巻, 2 号
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  • 範 立, 横田 耕史郎, 藤元 薫
    1995 年 38 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    気相反応, 液相反応と比較しながら, 超臨界相における Fischer-Tropsch 反応を行った。反応条件, 反応装置, 触媒構造, 溶媒効果および抽出挙動などを調べた。高い反応活性と生産効率, 長い活性寿命, 速い熱伝導速度と物質移動速度, ワックスに対する強い抽出能力と分離効率などの特徴を備えた超臨界相 Fischer-Tropsch合成は, 液体燃料およびワックスの合成に優れた反応成績を挙げた。
  • 笠原 清司, 宮部 慎介, 清水 健博, 高瀬 英明, 山田 宗慶
    1995 年 38 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    水素化脱硫 (HDS) 活性とCo-Mo/Al2O3の表面構造との関係を検討することを目的に, 硫化と還元を組み合わせた各処理 (硫化, 還元, 硫化後還元, 還元後硫化) に伴うCo-Mo/Al2O3のベンゾチオフェンのHDS反応に対する活性と表面構造の変化を調べた。
    各種前処理後のCo-Mo/Al2O3のHDS活性の序列は, 硫化後還元>硫化>還元後硫化>還元の順となった。活性化のためには硫化が重要であり, 硫化条件が同じでも還元の組み合わせ方によってHDS活性が変化することが明らかとなった。Mo K吸収EXAFSからは硫化によってMoS2類似の構造が形成されること, 最初に還元を施すと後続の硫化時においてMoS2類似構造の形成が大きく妨げられることなどが明らかとなった。また, 配位不飽和度の指標となるNO吸着量は, 硫化後還元>還元>還元後硫化>硫化の序列となり, HDS活性との相関は見られなかった。吸着NOのIRスペクトルにおいて, Coに吸着したNOとMoに吸着したNOとの吸光度の比から, 表面に存在するCoの割合の序列は, 硫化>硫化後還元>還元後硫化の順であることが示唆された。この順序はNO吸着量当たりのHDS活性の序列と一致した。
  • 福原 長寿, 小林 司磨, 五十嵐 哲
    1995 年 38 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    プレート式熱交換器の金属内壁面に触媒成分を付着させた矩形の熱交換型管壁反応器を想定し, 同反応器でメタンの水蒸気改質反応とメタンの燃焼反応を行った場合の反応と伝熱に関する動特性をシミュレーションにより検討し, 充てん層反応器の場合と比較した。
    反応原料物質の供給量を急激に変化させた場合, 管壁型反応器は, 反応場である触媒壁面との熱エネルギーの交換が伝導伝熱によって迅速で効率的に行われ, 極めて短い時間で反応器が安定した。また, 管壁型反応器は変動時においても均一で安定した温度分布を与えた。この傾向はメタンの燃焼反応において顕著であった。
    これらのことから, 大きな反応熱を伴う反応を行う場合でも, 管壁型反応器の使用は安全で安定した反応システムの操作を可能にすることを推論した。
  • 横山 晋, 大谷 明数, 村路 光義, 杉淵 宏志, M. Y. BAKR, 佐藤 正昭, 真田 雄三
    1995 年 38 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石炭中の有機硫黄の結合形態を究明するために, イリノイNo. 6炭 (C: 77.7, S: 2.4wt%) および三池炭 (C: 84.5, S: 1.1wt% d. a. f) をピリジン溶剤で抽出し, このn-ヘキサン可溶分 (抽出オイル) と, ピリジン抽出残さ炭については水素化分解反応を行い, 生成したオイル分 (水素化分解オイル) を本研究の試料として用いた。両オイルをNH2カラムHPLCによって化合物クラスフラクションに分別し, 各フラクションのGC-FID/FPD分析からFr-D (ナフタレン類), T (3, 4環芳香族類) に有機硫黄化合物を検出した。
    イリノイNo. 6炭, 三池炭の抽出オイルFr-D, Tについて,GC-LVEI (低電圧イオン化電子衝撃法) MS分析によってZ数を求め, このZ数マスクロマトグラムとGC-FPDクロマトグラムの比較によって有機硫黄化合物の解析を行った。Fr-DにはC2-C5/C6-ベンゾチオフェン類, Fr-TにはC0-C4/C6-ジベンゾチオフェン類の各同族体に帰属できた。
    イリノイNo. 6炭, 三池炭の各水素化分解オイルについても, Fr-D, Tに有機硫黄化合物の存在が確認された。同様な解析法によって硫黄化合物タイプを解析し, それぞれベンゾチオフェン同族体, ジベンゾチオフェン同族体に帰属することができ, 抽出オイルと類似した有機硫黄化合物が存在することを認めた。
  • W触媒とMo触媒の基本機能の違い
    佐藤 利夫, 柏谷 智, 平 健二, 葭村 雄二, 島田 広道, 松林 信行, 今村 元泰, 西嶋 昭生
    1995 年 38 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    WO3/Al2O3触媒のWO3の担持量, タングステンの分散状態および硫化状態を制御することにより, 硫化タングステン触媒の基本機能である水素化活性 (HY; 芳香環の核水素化) と水素化分解活性 (HC; C-C結合の開裂) の発現を制御できることがモデルテスト反応および触媒表面状態の解析結果から明らかになった。W触媒はMo触媒と比べ格段に高いHC活性および優れたHY活性を示し, 高性能なタングステン系触媒の開発可能性が示唆された。また, XPS (X線光電子分光), TEM (透過型電子顕微鏡) およびEXAFS (X線吸収端微細構造) の測定結果から, タングステンはモリブデンと比べAl2O3担体上で硫化されにくく, いったん硫化が進行するとWS2状結晶が成長しやすいため, HYおよびHC活性サイトの発現を制御することがMo触媒に比べより困難であることも明らかになった。
  • ナフタレン類の抽出平衡と速度
    金 秀鎮, 江頭 竜一, 川崎 順二郎
    1995 年 38 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    分解軽油は多くの有用芳香族成分を含んでいる。中でも, 2,6-ジメチルナフタレンはエンジニアリング•プラスチックの基礎原料として注目されている。本報では, 平衡ならびに回分かくはん槽により分解軽油に含まれる有用芳香族成分 (ナフタレン類: 炭素数10から12) の抽出を実験的に検討した。
    溶媒の探索のため, スルホラン, ジメチルスルホキシド, ジエチレングリコールおよびジメチルホルムアミド水溶液を用いて分配平衡を測定した。その結果, ナフタレン類の分配係数およびノナンを基準とした分離の選択度の観点においてジメチルスルホキシドが最も適した溶媒であった。さらに, ジメチルスルホキシド水溶液を用いて回分平衡抽出を行い, ナフタレン類の分離•回収に対する操作因子の影響を検討した。溶媒中の水の質量分率の増加に伴いナフタレン類の分配係数は減少したが, ノナンを基準成分とした選択度は増加した。操作温度の上昇はナフタレン類の分配係数およびノナンを基準成分とした選択度を著しく減少させた。
    また, 回分かくはん槽を用いてナフタレン類成分の抽出速度を実測し, 連続相側物質移動係数を相関した。
  • 山村 正美, 若月 俊也, 岡戸 秀夫, 藤元 薫
    1995 年 38 巻 2 号 p. 121-129
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    エチレンからの液体炭化水素の合成において, 触媒としてMg-ZSM-5ゼオライト (SiO2/Al2O3比=50) を用い, その反応活性と酸点の性質をH-ZSM-5やGa-ZSM-5触媒と比較検討した。Mg-ZSM-5触媒の反応活性, 生成物の選択性などはH-ZSM-5やGa-ZSM-5触媒に比べて大きな違いはないが, 触媒寿命は約1.5倍程度長くなることがわかった。
    アンモニアTPDにより, Mg-ZSM-5触媒の酸点の性質について検討した。反応前のMg-ZSM-5触媒のTPDでは, H-ZSM-5やGa-ZSM-5触媒と同様に, 473~498Kおよび648K付近に二つのピークが得られた。反応後は高温側の強酸点に対応するピークはH-ZSM-5やGa-ZSM-5触媒と同様にほとんど認められなかったが, 低温側の弱酸点に対応するピークは他の2触媒に比べて大きく, 弱酸点がかなり残っていることが示された。このことが, Mg-ZSM-5触媒が他の2触媒に比べて長寿命であった原因であると推論される。
    また, 水素活性化能を有するガリウムや亜鉛をMg-ZSM-5触媒に含浸担持した触媒, またはこれらの金属をMg-ZSM-5触媒に物理混合して調製したハイブリッド触媒を用いると, C5+液体炭化水素の収量が増加するとともに, 触媒寿命がさらに長くなるなどの効果が得られた。これらの結果について, 水素の逆スピルオーバーの観点から考察した。
  • 窪田 好浩, 竹内 和彦, 花岡 隆昌, 杉 義弘
    1995 年 38 巻 2 号 p. 130-136
    発行日: 1995/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    含ビフェニル耐熱性芳香族高分子の官能基化による機能性材料の開発を目的として, カルバゾール骨格を有する修飾可能なポリアミドを合成した。2,7-ジブロモ-9,10-ジヒドロフェナンスレンとビスフェノールAまたは4,4'-ジアミノジフェニルエーテル (5) のカルボニル化重縮合の結果に基づき, パラジウム触媒による9-置換3,6-ジブロモカルバゾール (1) とジアミン5のカルボニル化重縮合条件の最適化を検討した。高分子合成に先立ち, カルボニル化条件下での9位の置換基の安定性を調べた。N-およびO-ベンジル基はカルボニル化条件下安定であった。9-ベンジル-3,6-ジブロモカルバゾール (1a) とジアミン5のカルボニル化重縮合により, ポリ [アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル(9-ベンジル-3,6-カルバゾールジイル)カルボニル] (6a) が収率98% (ポリスチレン基準重量平均分子量 (Mw)=30,000) で得られた。また, 9-(2-ベンジルオキシエチル)-3,6-ジブロモカルバゾール (1b) とジアミン5のカルボニル化重縮合では, ポリ {アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル[9-(2-ベンジルオキシエチル)-3,6-カルバゾールジイル] カルボニル} (6b) が収率99% (ポリスチレン基準Mw=22,100) で得られた。ポリマー6aおよび6bの空気中での10%重量減少温度 (T10) はそれぞれ346°C, 333°Cであった。20%水酸化パラジウム-炭素を触媒とする6bの水素化分解によりポリ{アミノ-1,4-フェニレンオキシ-1,4-フェニレンアミノカルボニル[9-(2-ヒドロキシエチル)-3,6-カルバゾールジイル]カルボニル} (6c) が定量的に得られた。ポリマー6a-cはジメチルホルムアミド (DMF) に可溶であり, キャストフィルムを形成した。
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