抄録
アルミナに担持したルテニウム触媒の空気焼成温度が変わると, 金属分散度など触媒物性が変化したので, 担持ルテニウム触媒を用いた Fischer-Tropsch 合成の反応挙動も大きく変化した。この反応挙動は低温焼成触媒と高温焼成触媒の二つのパターンに分けられる。アルミナに担持したルテニウム触媒上の Fischer-Tropsch 合成反応は構造敏感反応であった。超臨界流体を用いて反応後の触媒層に残された高分子量炭化水素を抽出して分析したが, 炭素連鎖成長確率とオレフィン/パラフィン比は金属分散度に大きく依存することが分かった。合成ガスに水を添加すると, 炭素連鎖成長確率とオレフィンの割合は増加した。一方, 合成ガスにエチレンを添加すると, 低温焼成の触媒ではアルコール, アルデヒドなど含酸素化合物の生成が見られ, 高温焼成の触媒ではこのような含酸素化合物の生成はできなかった。吸着COとルテニウム表面の結合の強さがルテニウム粒子のサイズに制御され, 反応成績に影響した。