環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
環境保護意識に対する社区の意義――北京市T区のデータ分析から――
保坂 稔
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2009 年 15 巻 p. 119-131

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抄録

昨今の中国では市場経済化が激しく,大都市へ人口が流入している。これらの動きに伴い,とくに北京市では旧来の「単位」に代わって「社区」の導入が試みられている。本稿はこのような状況を踏まえ,中国北京市T区の環境保護意識を検討することを目的とする。検討にあたっては,日本で得られている環境保護意識研究の知見を参照する。北京市T区にあっては党所属やメディア効果といった視点よりはむしろ,「社区」が環境保護意識を論じるにあたって重要となる。社区の導入はコミュニティの観点を生み出し,環境保護意識を促進する。ただしこのコミュニティ意識は,権威主義的態度に促進されており,下からの自発的協力といった特徴をもっている。このような問題点はあるものの,環境保護意識を促進するためには,社区というコミュニティを生かしていくことが必要といえる。

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© 2009 環境社会学会
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