環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
特集 循環型社会の形成と環境社会学
循環型社会の形成と環境社会学――社会システム論の視座から――
湯浅 陽一
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2011 年 17 巻 p. 5-18

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抄録

1990年以降,政府は循環型社会形成推進基本法や容器包装リサイクル法などの制度を整備し,「循環型社会の形成」を主要な政策課題としてきた。環境経済学などではこれに呼応し,循環型社会の形成方法やリサイクル・システムを主題とした研究が積極的に展開されてきたが,環境社会学では,このテーマを正面から取り上げた研究は少なかった。これは,環境社会学における廃棄物問題研究が,有害物質による環境や人体への悪影響や都市と地方の格差など,被格差・被支配問題の視点から展開されることが多かったのに対し,政府による「循環型社会の形成」という課題設定が,経営問題としての側面をもっていたためである。本稿では,環境社会学においてもこの課題に対する研究を積極的に行うべきであるという立場から,環境社会学の視点から可能となるアプローチについての検討を行う。そのために,まず,容器包装類のリサイクル・システムと,このシステムに組み込まれている拡大生産者責任(EPR)を取り上げ,これらの特徴や課題について環境経済学的な視点をふまえながら把握する。次いで,こうして把握された諸点と対比しながら,社会システム論と社会的合理性という2つの視点を軸に,環境社会学によるアプローチの有効性を示していく。

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