環境社会学研究
Online ISSN : 2434-0618
論文
持続可能な地域発展の分析枠組み――兵庫県豊岡市コウノトリと共生する地域づくりの事例研究から――
清水 万由子
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2012 年 18 巻 p. 112-125

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抄録

本稿は持続可能な地域発展の分析枠組みを検討するために,地域に蓄積された環境ストックの変容過程という視点から,兵庫県豊岡市のコウノトリと共生する地域づくりの事例分析を行った。本稿では,持続可能な地域発展を,ストックへの投資と利用が再投資をもたらし,自律的に変容していく過程として捉える。豊岡市では,コウノトリの野生復帰をめざしたさまざまな活動が取り組まれている。事例研究では,自然-人工ストックへの投資として生態系保全型圃場整備と湿地環境の創出に,人材-文化ストックへの投資としてコウノトリ育む農法の確立・普及過程に着目した。その結果,素材的な自然-人工ストックと,主体的な人材-文化ストックの間では,相互作用による相互変容が生じていることが明らかになった。相互変容を可能にする要因として,相互作用からの学習による順応性,革新的な取り組みを生み出す文脈が重要な役割を果たしていると考えられる。

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