現在の地域社会において,自然資源が利用されなくなることで自然環境が荒廃し,それが地域社会におけるさまざまな生活問題につながっている。これは過少利用問題と呼ばれ,解決困難な課題として拡大している。これに対し,過少利用問題を解決するための仕組みづくりとともに,地域社会自体の衰退をどのように考えるかが問われている。
そこで本稿は,奄美市打田原集落におけるソテツ林管理と集落再生事業の関係をもとに,過少利用の状態にある自然資源の管理と集落再生事業とを一体的に展開することの意義について考察した。打田原集落では,ソテツ林の管理それ自体を目的としつつも,それを地域景観の向上や集落の財源確保,高齢者・就労準備者の仕事・居場所づくりなどといったさまざまな課題の解決を目指す集落再生事業の手段としても位置づけていた。
こうした取り組みを分析した結果,その意義として,①ソテツ林再生と集落再生の相互の手段を広げた点,②ソテツ林管理継続の評価軸を社会的価値へとずらした点,③コモンズ的な利用・管理を可能にした点,があげられた。