1998 年 4 巻 p. 93-106
環境問題の構築を「非専門家」による科学技術批判という概念で捉え、「専門家」による科学技術の構築との相互作用を、農薬から遺伝子組み替え作物へ至る科学技術とそれに対して提起される環境問題を事例に検討した。分析方法としては、構築過程を複数の「アクター」の関係に分解して記述する、科学技術社会学の「アクター・ネットワーク」を採用した。遺伝子組み替え作物の科学技術は、農薬の科学技術ネットワークが、それに対抗する環境問題ネットワークと相互作用する過程で構築されてきたことが確認された。また、この相互作用の過程では、都市の消費者と特許制度が、双方のネットワークを共存させる上で重要な「アクター」として機能していることが示唆された。