植物学雑誌
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島根縣中新世産オオウドカヅラ屬の化石木
亘理 俊次
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1951 年 64 巻 751-752 号 p. 1-7

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抄録

島根縣邇摩郡仁万村坂灘の角礫凝灰岩 (下部中新世) には保存良好な珪化木が多敷包藏されるが, この中にオオウドカヅラ屬 (ブドウ科) の一種が見出された。構造の主要點は次の通りである。年輪は時に不明 瞭。散孔材。管孔は多くは獨立時に少數個の放射列, 獨立管孔は圓形, 薄膜, 最大切線徑220μ; 管孔群の接合膜は肥厚顯著; 導管相互間および柔細胞との間の膜孔は階段状; 薄膜のチロースが多い。繊維状細胞 はすべて隔膜繊維。柔組織は管周状, 概ね1層。髄線は異性, 趣めて高い廣髄線のみからなり幅4-10細胞; 鞘状細胞存在; 髄線中に針晶束を包藏するやや大形で薄膜の細胞が散點, 針晶束は鞘状細胞中めものは縦位, 他は横位をとる。針晶束の存在により類縁考察の範圍を狹めることができ, 結局 Leea の一種であることが判明し, 本屬植物の現在の分布と, これらの構造を比較した上, 一絶滅種と認め, L. eojapo nica Watari とした。

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