植物学雑誌
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アサガオの花芽形成を支配する光条件について
V. 暗期後の光について
滝本 敦池田 勝彦
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1960 年 73 巻 861 号 p. 91-97

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抄録

1) 16時間の暗期後に与えた近赤外光または弱光 (10lux) は, アサガオの花芽形成にあまり影響を 与えない.
2) 8-12時間後に与えた近赤外光を含まない弱光 (10lux) は花芽形成をかなり促進する. しかし近 赤外光はこの促進効果を持たない.
3) 上記弱光の花芽形成促進効果は, 弱い近赤外光 (120erg/cm.2/sec.) を同時に与えることによっ て妨げられる.
4) オナモミでは暗期後5分間赤色光を与え, それに続いてさらに第2の暗期 (8時間) を与えると花 芽形成が抑制されるといわれているが3), アサガオではこのような現象は見られず, 第1の暗期が11時 間の場合には逆に花芽形成が促進される.
5) 花芽形成に有効な暗期の最後の段階は比較的光に安定で, 弱光下でもある程度進み得, また短時 間の赤色光照射に対しても安定だと考えられる. しかし暗期の初期段階程光に安定ではない.

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