1962 年 75 巻 884 号 p. 49-55
ブライトイエロー種のタバコ種子は, 発芽に光を必要とする. ジベレリンはこの種子を暗所で発芽させる. このジベレリンの暗発芽誘起作用に対する硝酸アンモニウム, りん酸アンモニウム, 硫酸アンモニウム, 塩化アンモニウム, 硝酸カリウム, りん酸カリウム, 硫酸カリウム, 塩化カリウムの影響を検討した. これら塩類そのものには暗発芽を誘起する作用はないが, どれもジベレリン作用を促進し, その促進は前6者に強くみられる.
塩を構成するアニオン, カチオンの濃度をかえることにより, 発芽床のpHを調整した場合, KNO3 はpH3.3で, NH4Clは pH3.0 と 4.7 とで, KH2PO4, K2HPO4はpH2.0, 3.8 および4.7で, NH4H2PO4, (NH4)2HPO4 は pH2.0, 3.0 および 4.7 でとくにジベレリンの暗発芽誘起作用を促進する. これら作用性を検討し, アンモニウムイオン, カリウムイオン,硝酸イオン,りん酸イオンがジベレリンの作用を促進するが, その作用機構には差があると推論した.