植物学雑誌
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カゼクサ種子の発芽過程に見られる短日性と長日性とについて
藤伊 正
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1962 年 75 巻 884 号 p. 56-62

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抄録

1) カゼクサの種子の発芽は播種と同時に始まる暗期と, これにつづく光期との存在によっていちじるしく促進される. この暗期が短日植物に見られる暗期と同じ性質を示し, 一方光期が長日植物に見られる光期と同じ性質を示すことを明らかにした.
2) 暗期後の光期は連続的に与えられなくとも, 数回の periodic flashes がある間隔をおいて与えられれば, 連続的に与えられた光の効果以上の発芽促進効果を示す. このperiodic flashesの光期のおのおのについては, red と far-red との各波長の光の間に光可逆性が観察された. Red の発芽促進効果は far-redの光によってとりのぞかれ, この抑制と促進とは何回もくり返すことができる。
3) カゼクサ種子において, 短日性と長日性との感応性は共に播種と同時に生起し, その発芽過程においてこの両者は共働することを観察した. このことからカゼクサ種子の発芽は短日性と長日性との相互依存によって促進されることを暗示し, さらにこの両者の相関性について論議した.

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