抄録
本研究は,L-ラクチド・ε -カプロラクトン共重合体を主原料としたメンブレンを使用し,オープンバリアメンブレンでの
使用可能性について検証した.
分解吸収挙動確認試験としてメンブレンを遠沈管中で疑似体液に浸漬し,浸漬開始後 1 ,4 ,8 週後に回収した試料を浸漬前の
重量を100とした場合に対する重量として残存重量率 (%) を算出した.その結果,加水分解により徐々に分解吸収は進むが 4 週と
8 週では統計学的有意差はなく緩やかであった.また分解吸収進行後の試料を引張試験にて破断距離を調べた結果, 0 週から 4
週, 8 週へと破断距離は有意差をもって低下していた.しかしながらSEM 像やマイクロCT 像からメンブレンの構造体自体は維持
し,穴が空いたりなどの構造が破綻することはなかった.このことからL-ラクチド・ε -カプロラクトン共重合体を主原料とした
メンブレンは吸収性でありながらオープンバリアメンブレンとしての応用の可能性が示唆された.