日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
TVM(tension-free vaginal mesh)術後の直腸メッシュ迷入の1例
田岡 利宜也水野 桂松岡 崇志北 悠希仲西 昌太郎浅井 聖史宗田 武井上 幸治寺井 章人
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2011 年 102 巻 6 号 p. 726-730

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抄録
症例は,64歳女性.膀胱瘤と直腸瘤の診断にて,2007年11月にTVM(tension-free vaginal mesh)手術を行い,前後腟壁を修復した.2008年10月,左臀部の出血にて皮膚科受診となった.潰瘍病変を認め開始された外用療法は奏功せず,便臭分泌を契機に直腸皮膚瘻が発見された.直腸メッシュ迷入に起因する感染がメッシュ左脚部に波及し,直腸皮膚瘻を形成したものと考えられた.2009年3月,経皮経肛門的にメッシュ左脚部を摘除し直腸壁を修復するとともに,人工肛門を造設した.しかし,術後4カ月目の大腸鏡にて,修復部より口側の直腸左壁に新たなメッシュ迷入を認めた.同年12月,メッシュ迷入部の拡大を認めたため,経肛門的に直腸壁を修復した.その後の再発を認めず,2010年2月に人工肛門を閉鎖した.2011年2月現在,メッシュに関わる新たな合併症を認めていない.稀と思われるが,本症例のような経過がある事も念頭に置きながらTVM術後の経過を観察すべきと考えられた.
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© 2011 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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